セックス・クラブ (2008 アメリカ)
原作者は『ファイト・クラブ』のチャック・パラニューク。出演もサム・ロックウェル、アンジェリカ・ヒューストン、ケリー・マクドナルドと中々の顔ぶれながら、劇場では公開されずDVDスルーになってしまった作品。
まず、『セックス・クラブ』という邦題が酷い。そんなクラブはこの物語に登場しないし。ファイト・クラブを安易にもじっただけで、作品の趣旨にも即さない。まるでアルバトロスのエロティック系Z級映画みたいなタイトルだ。担当者には猛省を促したい。
原題は『CHOKE』。窒息。実際に見てみると分かるが、色々な意味が二重三重に込められている、とても良い題名だ。ストーリーは、痴呆症の母の入院費を稼ぐため詐欺を働くSEX依存症の男・ビクターが、迫り来る母の死を前に自分の出生の秘密を探っていく…というもの。
ファイト・クラブほどの衝撃はないんだけど、様々な欲求に飢える独り身の青年が主人公であったり、その主人公の独白によって物語が進んでいったりと、似ている部分も多い。見ていて「あぁファイト・クラブっぽいなあ」と思うこともしばしば。
サム・ロックウェルの相変わらずの飄々とした演技もいいけど、特に光っていたのが主人公の母親を演じたアンジェリカ・ヒューストンと、病院で彼女の世話をする女性を演じたケリー・マクドナルド。コメディチックな物語を、この二人がシリアスな演技で上手く引き締めてくれていた。ケリー・マクドナルドは「ゴスフォード・パークの頃に比べるとずいぶん太ったなぁ」なんて思っていたら、なんとこの時妊娠していたんだとか。
やや薄味でパンチが少ない感は否めないけど、全体的によくまとまっているし、終わり方も好み。未公開作としては見て損はない出来。
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