20110409

未公開映画レビュー 「タイタニック2012」



タイタニック2012 (2010 アメリカ)


震災の影響で、公開を延期する映画が次々と出ている。中国の『唐山大地震』なんかはまぁ仕方ないかと思う部分もあるのだが、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』などは、今回の震災とは何の関係もないだろうに。自然災害じゃなくて宇宙人が攻めてくる映画なんだから。楽しみにしていただけにとても残念。

そんな中、もろに津波を描いているにも関わらず、何事もなかったかのように予定通りに発売されたのがこの『タイタニック2012』。

タイタニック号沈没から100年後の2012年。悲劇が起きた同じ日に、タイタニック2号と名付けられた豪華客船が大西洋へと旅立った。設計士のヘイデンが、パーティーの席で悲運の歴史を塗り替える偉大なる航海を称え、船内は盛り上がりをみせていた。その頃、カナダ北部で巨大な氷河の崩落が観測される。その影響で史上最大の大津波が巨大な氷塊と共に大西洋に向かっていた。極寒の海原で、悲劇は再び繰り返されるのか…。(「Oricon」データベースより)



パクリ映画で有名なアメリカの製作会社The Asylumの新作で、原題はズバリ『Titanic 2』。ジェームズ・キャメロンが怒り出しそうなタイトルだけど、作り手側としては「映画タイタニックの続編という意味ではなく、タイタニック2号という船を描いた映画なのでTitanic 2なんですよ」という言い分らしい。上手いこと考えたもんだ。ただ、案の定アメリカではタイタニックファンから総叩きに遭っていて、IMDbでは1.9点という驚異の低スコアを叩き出している。

内容はと言うと…。まぁ、1.9という点数に違わない、どうしようもない感じの作品だった。

どうせここまで確信犯的に便乗するのであれば、いっそ開き直ってオマージュに徹するか、もしくは好き放題やって全然違う話にしちゃうか、どっちかに振り切っちゃえばいいと思うんだけど…。なんか変に真面目に物語を進めようとするんだよなぁ。映画自体は完全にふざけてるのに、脚本ではあまりふざけないんだよね。



冒頭、主人公が軽快なPOPミュージックに乗せて美女4人をはべらせながら登場するところなんかは、本家のディカプリオとのギャップに笑ってしまうし、「今回は氷山のあるところには行かないからタイタニックの二の舞にはならないよHAHAHA」って余裕こいてたら津波で氷山の方がやって来ました、っていうのもオマージュ映画としては一捻り効いてて面白い。

ただ、船が沈没し始めてから、変にシリアス方向にスイッチが入っちゃってつまらなくなる。CGのクオリティが恐ろしく低いのを突っ込むのは野暮としても、どこかで見たことがあるようなパニック描写ばかりで、ひたすら本家タイタニックの劣化コピーを見せられてる気分に。

しかも、あまり遠くまで見えちゃうとCGにお金がかかると言わんばかりに、真っ暗のシーンがやたら多い。まぁリアルと言えばリアルだけどさ…。とりあえず音で迫力を伝えようとしてるんだけど、暗すぎて登場人物が何をやってるのかが全然分からない。



ラストも話をまとめる気ゼロだし…。
まぁ、よっぽどのZ級映画マニアでもない限り、見なくてもいいかな、これは。

ただ「タイタニックなんて女向けのクソ映画だろw」と言ってる人たちに見せる教材としてはいいかもしれない。あの映画がどれだけ完成度の高い作品か、これを見れば分かるに違いない。



  

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