20110301

ザ・コーヴ



『ザ・コーヴ』を見た。

要するにこの映画が言いたいのは「イルカは知能が高いから殺しちゃダメ」っていうことなんだけど、その考え方には正直、一切共感できない。作り手としては「日本人はこの事実を知らないだけで、知ったらみんな俺に共感するはずだ!」っていう論調なんだけど、残念ながら大多数の日本人は自分と同じだと思う。

ただ、ドキュメンタリーとしては抜群に面白い。

マイケル・ムーア的なエンターテインメント性もありつつ、映像の見せ方のセンスの良さもあって、アカデミー賞を獲ったのも納得の出来。これでイルカ漁がテーマでさえなかったら絶賛なんだけど…。

日本人が今一番聞きたいのは「なんで知能が高いと食べちゃダメなの?」ということだと思うんのだが、それに対しての答えが一切ないんだよね。

たぶん向こうの人にとって「知能が高い=食べない」というのは当たり前の感覚で、何の疑問を差し挟む余地もない前提事項なんだろうな、と。そこに考え方のズレがあるんだろうな、と。

日本には「いただきます」という言葉があるように、どんな食べ物に対しても「敬意を払って食べる」という文化がある。それに対してキリスト教圏の人たちは「食事を与えてくれた神様に感謝して食べる」わけで、特に食べ物に対して敬意を払う文化がない。だから「敬意を払うに値する(=知能が高い)動物は食べない」という考え方が生まれるんじゃないだろうか。

でもそれって「知能が低い動物は比較的どうでもいい」という考え方にも繋がるわけで、知能が高かろうが低かろうが命を平等に扱っている日本人の価値観の方が優れていると思うけどね。

乱暴な意見だけど、この作品を見ているとそんな風に思えてしまった。

色々と考えさせてくれる、日本人こそ見るべき作品だと思う。

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