20110328

未公開映画レビュー 「SHOT/ショット」



SHOT/ショット (2010 ウルグアイ)


40年代にウルグアイで起きた殺人事件の実話を基にしたというホラー。86分間ワンカットの映像が特徴。

実話を基にしたストーリーのP.O.Vというだけでも結構珍しいのに、それに加えて全編ワンカットで撮影するという欲張りっぷり。でも、こういうチャレンジ精神溢れる作品、大好きです。

結構かわいい主人公"

最近なんでもかんでも「実話を基にした~」って付いてるけど、実際こういうのって、どこまで本当に基にしてるのかとても疑わしい。誰もが知ってる有名な事件ならとにかく、こんな大昔の殺人事件を基にされても、脚本を書いた後に似たような事件を探し出してきただけなんじゃねーの?と邪推してしまう。

IMDbの点数も5.6と低かったので、物珍しさを狙っただけのどうしようもない作品なのかなぁと大して期待していなかったんだけど…。予想に反して結構面白かった。

86分をワンカットで撮ることの凄さは言わずもがなだけど、ただ単調にワンカットで撮るだけじゃなくて、カメラワークなんかも色々と工夫していて、監督の映像センスの良さが窺える。特に冒頭とラストのシーンを対比させて描いたところなんかは上手いなーと。監督はこれがデビュー作ということだけど、この人の普通の作品も見てみたくなった。ウルグアイ映画なんてそうそう日本に入ってこないから、見る機会はもうない気がするけど。

ぬいぐるみを持ってる主人公

映像はクオリティ高いんだけど、それに対して脚本は基本的にお粗末。

やっぱり全編ワンカットという手法の欠陥として「物語の大きな転調ができない」というのがある。だから、ことホラーやスリラー映画でこれをやるとなると「大元となる物語の設定でどこまで観客を引っ張れるか」がカギになってくると思うんだけど、この作品はあまりその設定に魅力を感じない。要するに家の中に得体の知れない誰かがいるという、それだけの話だから。

特に中盤の家の中のシークエンスなんかは、大したことも起きてないのに主人公が勝手にギャーギャー怖がっていて、こちらとしては物凄い置いてけぼりを食らってしまう。いわゆる「ブレアウィッチ状態」になっちゃってる。あと、最後のどんでん返しも伏線が殆どないし、あまり辻褄が合っていない。

多分作り手としては、『REC』のような体感型ホラーの路線を目指しつつ、あそこから更にもう一歩進めてみようっていうところを狙ったんだと思うけど…。あまり成功してるとは言い難いかな。

結局これ誰だったの?

まあ、風変わりな作品が好きなら人なら充分楽しめる出来にはなってると思う。

あと、全編ワンカットって言ってるけど、途中照明が消えて真っ暗になるシーンで絶対ズルしてると思うのは、自分が捻くれ者だからだろうか。



 

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